2006年04月29日
実話ナックルズ増刊号 ミゼットレスリングの歴史
「実話ナックルズ」と言えば、アンダーグラウンドな世界に注目する雑誌。
虚実が入り混じった話題を提供し続けている。
何が真実かを読者に突き付けるという意味では、実話ナックルズは極めてプロレス的な存在だ。
そんな実話ナックルズの増刊号が店頭に並んでいる。
「漫画 実話ナックルズ 増刊号 VOL.4」。
タダでさえ怪しい光を放ち続けるナックルズ。
その増刊号となれば、ベクトルはさらにマイナーな世界に向かう。
表紙を開くと「専門誌が絶対書けない総合格闘技の闇」。
巻頭カラーという扱いが力の入れ具合をうかがわせる。
誰もが知っているような格闘技界の登場人物を別名で語っているが、どの団体、どの個人を指しているかは、本人にそっくりな絵で一目瞭然。
あからさまさには笑うしかないのだが、個人的にはどこかで聞いたことのあるような噂話が増刊号 VOL.4の注目記事ではない。
152ページを開く。
そこには「俺たちは放送禁止なのか! [消えたエンターテイメント] 小人プロレスの光と影」とのタイトルが。
かつて全日本女子プロレスのマットの前座で活躍した、いわゆるミゼットレスラーたちに焦点を当てた漫画仕立ての特集になっている。
コミカルな動きで観客の笑いを誘った彼らの努力と苦悩。
間違いなく「猪木ができなかったプロレス」がそこにあった。
「俺たちのプロレスは俺たちにしかできないって誇りを持ってやってるんだ!」
誇りを持ち、プロのエンターテイナーとしてリングに表現を求めたミゼットレスラーたち。
彼らはキャラクターを生かし、リングだけではなくTVにも登場する。
しかし、特徴的身体によってか 一般視聴者からの抗議により活躍の場を限られる。
更にビューティペア登場以降の女子プロレスラーのアイドル化により、リングに登場する機会も減少。
加えて彼らゆえの肉体的ダメージの蓄積による引退がレスラー数の減少を招く。
週刊化まもない頃の「週刊プロレス」ではモノクロページながら女子プロレス枠内で彼らの活躍を伝えていたような記憶がある。
事実上 最後のレスラーが忍者風コスチュームの角掛 留造とアフロヘアのリトル・フランキー。
角掛は'01年アキレス腱断裂後、翌年4月引退。
フランキーは同年8月、全女の寮で息を引き取る。
そして、'05年全女の倒産によりその歴史を閉じる。
プロレスの持つ面白悲しずむ(死語)を体現したかのようなミゼットレスラーたちの歴史。
画があの名作「プロレス スーパースター列伝」を描いた原田 久仁信氏とならば、彼をセレクトした「異端の笑国―小人プロレスの世界」、「君は小人プロレスを見たか」とミゼットレスラー達に注目し続けてきた原作者 高部 雨市氏 と表紙にミゼットレスラーの絵を持ってきた編集者のプロレス力 そしてミゼットレスラー達に敬意を表しつつページを閉じる。
興味のある方は手に取ってみるがよろし。
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