2006年01月20日
【雑感】若手から離脱する新日本とは
吉江 豊、長尾浩志、安沢明也、ブルーウルフが新日本退団決定。
ここ数年はこの時期になると「退団するのは誰か?」という話題で持ちきりになる新日本の契約更改。
(年中行事のごとく契約更改時の離脱者の有無が話題になること自体、既に組織としては異常なのだが)
スキャンダラスな話題が付き物の新日本ではあるが、猪木保有の株式売却・東京ドームからの撤退・東スポ制定プロレス大賞に受賞者なし などと暗い話が続く新日本の今年の更改は、今までとは趣きが違うのではないかという気がする。
退団するのは古参レスラーではなく、若手レスラーたち。
若手レスラーの現在のところの離脱者は安沢と長尾の二人。
週刊誌でのインタビュー記事によると、安沢は「自分がプロレスラーとして観客に夢を与えることができない」ことを理由にマット界から去るという。
彼の中でどんな葛藤があったのか うかがい知ることはできない。
逃避、負け犬と呼ばれるかもかもしれないが、プロとしての自分の去就に決着を付けた安沢はある意味 清くて いさぎよい。
何かあればフロントのせいにするレスラーの多い中、彼の引退理由は今の新日本にとって余りにも重いテーマ。
新日本のレスラーは自分の胸に手を当てて自らを問うてみろ。
彼と同じ行動が取れるのかと。
さて、もう一人が長尾浩志。
退団の経緯については詳しくは語られていないが、まだ入団4年の若手。
バレーボールから転じた大型選手で、今後の成長によってはヘビー級の逸材となる可能性もあっただけに退団は残念。
契約交渉の際には他の選手と同様、長尾にも厳しい条件が提示されていると思う。
むしろ、若手だけに一層厳しいものになっていた可能性もある。
個人事業主たるプロレスラーが、提示された条件をどう捉えるかはそれぞれの判断。
現在の長尾のポジションを考えれば、彼がフリー選手として出場する機会も限られたものになるだろうし、他団体へ転出したとしても今以上の好条件が得られる可能性は低い。
にも関わらず、長尾が退団・フリーへの道を選択した理由とはなんだろうか。
「プロレスラー」というより「新日本のプロレスラー」として存在する一種の選民意識と言えるような感覚は、所属する全てのレスラーが持っているに違いない。
むしろ若手選手こそが金銭的な条件より、選ばれし新日本の選手としての誇りを感じているはず。
そんな彼らが、あえて新日本を離れなくてはならない現実があるならば悲しすぎる。
今は辛くても明日の新日本を担うのはお前たちだぞというような明確なビジョンを提示できないことが今回の若手離脱劇の真相だとすれば、新日本再生の道程は厳しい。
新日本には「明るい未来が見えません」と言い切るには切なすぎる昭和からのプロレスファンの感想。
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