2004年06月11日
鈴木の言うレスラーのハートとは
鈴木みのるが新日本の若手から感じたこと
ひょっとしたら計算づくで訊いているのだろうか。そうだとすれば困ったヤツらだ、と思いながら雑談をしていたわけではないが、鈴木みのるが面白い話をしてくれた。 「新日本の若手たちは宝ですね。肉体的に宝の山ですね。だから運動神経もよくて、体もよくて、力もあって、バランスやスピードを見ていても、やっぱりプロの一員なんだなと思いますよ。しかし、どこでどう間違ったのか……。彼らの中に“うまくなりたい”という気持ちだけを感じますね」。強くなりたいんじゃなくて、うまくなりたい? そういう意味なのか。
「プロレスの表現はテクニックだと思っているようですね。俺の表現はテクニックじゃなくてハートですから。最近、俺の試合を見てれば分かると思いますけど、技なんてほとんど出していないですよ。蹴っ飛ばして、ぶん殴って、踏んづけて、オリャーと首を絞めて逆落とし。これだけですよ」。
なるほど。そういえば、そうだ。そのほうが迫力も伝わってくる。テクニックはいっぱい持っていても、いざと言う時に出せばいいんであって……。
ヤスカクサンネタ。今回は珍しく同意。
体格や体型の違いはともかく、いつのまにかどのレスラーも同じようなテイストになっているような新日本。三銃士から後の世代、例えば天山や小島の世代には もうそんな雰囲気というか違和感を感じていたワタシ。
ラリアット連発で試合を組み立てる単調さが、そう感じさせるのかと思っていたら やっぱり違うんですね。鈴木の言う「ハート」、レスラーの内なるチカラが足りないのか・・・。
そういや確かに、最近の試合じゃ、痛さや熱さってあまり伝わってこない。
プロレス否定派の人間に「プロレスってどこが面白い?」って聞かれた時のワタシの定型的な答えに「子供の頃から体育の成績がずっと5だった人間たちが血尿が出るまで練習して、リングの上で繰り広げていることが面白くないわけがない」というのがあるんですが、そういう選ばれし者たちは通常人にはないムードというかオーラを持っているはず。
いくらプロレスラーという異形の者とはいうものの、均一化されたオーラじゃ誰の目にも届かない。
ボディスラム一発でも東京ドームの2階席の奥までオーラが伝わってくるようなレスラーが現れた時、初めて新日本は復活するのかも知れない。
そんなレスラーが現れないのは上井サンや藤波サンの手法に問題があるのではなくて、人間の中身を観客の目を通してフィルタリングする「プロレス」という作業に耐えうる素材が、今の日本のマット界には少数しかいないという悲しい事実を再認識させてくれるヤスカクサンコラムです。
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